サステナビリティマネジメント
担当役員メッセージ

当社を取り巻く環境は日々刻々と変化しており、格差や貧困の拡大、気候変動問題や自然災害などの深刻化、紛争の勃発など様々な社会課題が顕在化しております。
日本国内においては、少子高齢化が加速しており、それに伴う労働人口の減少やデジタル化の急速な発展など、私たちを取り巻く環境は大きく変化し続けております。
このような状況の中、私たちは環境変化にスピード感を持って対応し、持続可能な社会の実現に貢献することが必要であると考えております。
ー サステナビリティ推進の取組み
当社は、社会課題の解決と企業価値の向上を両立させることを目指し、2022年2月に、サステナビリティ基本方針及びマテリアリティ(重点領域)を策定しました。そして、2025年度を初年度とする中期経営計画の策定に伴い、経営環境の変化や社会からの要請を踏まえ、マテリアリティ(重点領域)を見直しました。その見直しにより、「安心・安全な金融サービスの提供」「環境に配慮した事業活動の推進」「人権を尊重する企業風土の深化」「持続的成長に向けた人材基盤の強化」「ガバナンスの強化」の5つをマテリアリティ(重点領域)と定め、これらへの取組みを推進・拡充することでサステナビリティへの対応を進めてまいります。また、サステナビリティに関する情報発信のさらなる強化にも取り組んでまいります。
ー 安心・安全な金融サービスの提供
お客さまへの金融サービスの提供にあたっては、当社グループの金融サービスが日本国内はもとより、ASEANを中心とするアジア経済を支える重要な役割を担っていることを認識し、既成概念にとらわれず、データとデジタル技術を駆使して新たな商品・サービスを提供してまいります。また、お客さまの健全な資金ニーズにお応えするため、昨今増加傾向にある金融詐欺被害や不正利用などのトラブルへの対応も当社の取り組むべき重要な課題であると認識しています。お客さまに安心・安全な金融サービスをスピーディーに提供することで、社会的使命を果たしていきます。
ー 環境に配慮した事業活動の推進
近年、地球温暖化などの環境問題が深刻さを増しており、CO2をはじめとした温室効果ガスの削減など、環境に配慮した企業の取組みが求められております。当社は再生可能エネルギーの導入やペーパーレス化の推進など、社会の一員として限りある資源を有効活用するとともに、企業活動に伴う環境負荷の低減に努めております。2024年11月には、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示を行いました。気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に影響を及ぼすものと認識し、今後もアコムグループ全体で取組みを進めてまいります。
ー 人権を尊重する企業風土の深化
ダイバーシティや人権への対応として、全ての人の基本的人権を尊重することを行動の基本とし、性別、年齢、障がい、婚姻、国籍などの様々な違いをお互いが尊重し、認め合い、受容することで、あらゆる人々が公平にその能力を最大限に発揮し、活躍することに寄与してまいります。
ー 持続的成長に向けた人材基盤の強化
アコムグループのビジョンである「全てのステークホルダーの期待に応えつづける」を達成するためには、会社と社員一人ひとりの持続的な成長が必要不可欠であり、「人的資本」がサステナビリティにおいて重要な項目であると認識しています。多様な人材の能力・アイディア・価値観等を尊重し、企業理念を具現化できる社員を育成するとともに、社員が「働きがい」「働きやすさ」を実感できる社内環境を整備しています。
ー ガバナンスの強化
経営の健全性、透明性及び効率性を確保し、継続的な株主価値の向上を図ってまいります。また、経営のリーダーシップのもと、組織内の全ての構成員が内部統制システムの構築及び実効性の確保にあたるとともに、内部統制システムの有効性を常に評価、検証し、継続的に改善しています。法令遵守や企業倫理の徹底に努め、全てのステークホルダーの皆さまから信頼される企業を目指します。
今後も、全てのステークホルダーの皆さまのご期待に応え続けるべく、持続可能な社会の実現に貢献し、社会とともに成長していくことを目指します。ステークホルダーの皆さまにおかれましては、今後とも一層のご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2025年6月
常務執行役員
森下 和喜
サステナビリティ推進体制
アコムにおけるサステナビリティの推進体制は、財務部サステナビリティ推進室が全社的なサステナビリティの企画を検討・立案し、重要事項については経営会議や取締役会において審議・決定をしています。また、特定したマテリアリティ(重点領域)のKPIや進捗状況についても、四半期ごとに経営会議および取締役会に報告しています。

マテリアリティ(重点領域)
当社は2025-2027中期経営計画の策定に伴い、2022年に特定したマテリアリティ(重点領域)の見直しを実施しました。ステークホルダーの期待・要求や経営環境の変化を踏まえ、新たに5つのマテリアリティを特定しました。
今後も、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指してまいります。

マテリアリティ(重点領域) | |
---|---|
貢献分野 | 安心・安全な金融サービスの提供 |
基盤 | 環境に配慮した事業活動の推進 |
人権を尊重する企業風土の深化 | |
持続的成長に向けた人材基盤の強化 | |
ガバナンスの強化 |

持続可能な社会の実現 企業価値の向上
サステナビリティの目標と取組みの方向性
重点領域 | 主な取組み内容 | 目標及び取組みの方向性 |
---|---|---|
安心・安全な金融サービスの提供 | CS経営の推進 | CS(お客さま満足)マインドの向上 |
お客さまの声の反映 | CS改善提案カードに基づく改善活動の継続実施 | |
「お客さまの声検討会」の継続実施 | ||
パーセプション※の再構築によるブランド力の向上 | 2027年度末のローン・クレジットカード事業残高1兆3,149億円 | |
応対力と審査スピードの向上による良質な顧客体験の提供 | ||
既存保証提携先との連携強化及び新規保証提携先の拡大 | 2027年度末の連結保証残高1兆6,960億円 | |
EASY BUY(タイ)における法規制への適切な対応と良質なポートフォリオの維持 | 2027年度末の海外金融事業残高2,575億円 | |
ACF(フィリピン)、ACM(マレーシア)の早期収益化 | ||
GeNiEの業務提携先の拡大 | エンベデッド・ファイナンス市場におけるリーダーポジションを目指すべく提携パートナーの拡大 | |
金融詐欺被害ゼロに向けた取組みの推進 | 不正契約・不正利用防止への取組み実施 | |
当社が優先的に取り組むべき社会課題を踏まえた適切な金銭教育の推進 | ||
環境に配慮した事業活動の推進 | 自社GHG排出量ネットゼロに向けた対応 | 2030年までに自社GHG排出量ネットゼロ |
環境に配慮した取組みの拡充 | エネルギー使用に係る原単位 対前年度比マイナス1% | |
グリーン購入の推進、購入比率の集計・開示 | ||
人権を尊重する企業風土の深化 | 人権方針・人権デューデリジェンスへの対応 | 人権方針の策定 |
人権デューデリジェンスの構築 | ||
社員の健康管理 | 長時間労働者数(月間残業80時間超)2027年度末0名 | |
プレゼンティーズム 2027年度末1.0%以下 | ||
ダイバーシティ推進 | 女性管理職比率の向上(2027年度末係長格以上26.5%、課長格以上11.0%) | |
若手社員のモチベーション維持・向上施策の実施 | ||
中高年社員(職位定年を迎える社員含む)の就業意欲向上につながる施策の推進 | ||
障がい者支援 | 障がい者雇用率(法定率の遵守) | |
エンゲージメント向上に向けた施策の推進 | 社員意識調査スコアの向上 | |
持続的成長に向けた人材基盤の強化 | 働く会社としてのアコムブランド向上 | 新卒内定者向けイベントだけでなく、ご家族向け職場見学会等の理解浸透施策を強化 |
働く会社としての認知度及びブランドイメージ向上を目指し、SNSを活用した当社の社風や働きがいが伝わる情報を発信 | ||
各テーマ別人材の育成 | 各テーマ別人材のベースとなるビジネススキルを有した人材育成の推進 | |
人的資本の可視化及び拡充 | 人事データベースの整備(人材の可視化) | |
ステークホルダーの目線を意識した人事関連非財務情報の開示項目のブラッシュアップ | ||
ガバナンスの強化 | コーポレートガバナンス・コードへの対応の高度化 | コーポレートガバナンス・コードへの適確な対応 |
組織・会議体の整備 | ||
リスク管理 | リスクカルチャー醸成のための全社的活動の実施 | |
リスクオーナシップに基づくリスク管理の実践 | ||
コンプライアンス | コミュニケーション活性化施策の実践 | |
ノーハラスメントの全社浸透に向けた施策の推進 |
マテリアリティ(重点領域)の特定プロセス

社会課題の抽出
MUFGグループの優先課題をベースに、SDGsやGRIスタンダードなどの国際的なガイドラインを参照。当社にあてはまる社会課題を抽出
重要度・優先度を評価
STEP1で抽出した社会課題に対して、当社における優先度とステークホルダーにおける重要度の2軸で評価
整理・統合
優先順位を付けた社会課題について、代表取締役社長及び役付執行役員で構成される中計策定検討会で議論を重ね、当社の経営戦略に沿った課題を選定
マテリアリティの特定
選定した課題について、各項目ごとの共通項などを整理し経営会議・取締役会での審議を経てマテリアリティを特定
マルチステークホルダー方針
当社が事業を行う上で、従業員や取引先等の様々なステークホルダーとの関係の構築方針として、賃金引上げ、教育訓練等の実施、取引先との適切な関係の構築等の方針を記載したマルチステークホルダー方針を策定しております。