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2024.01.12

借入金は確定申告でどう扱う?項目や書き方も紹介 wave

借入金が必要経費にできれば、所得が減らせるため、確定申告時に支払う税金を軽減できる可能性があります。しかし借入金は原則、必要経費にできず、経費にできるのは利息のみです。今回は、借入金と経費の考え方、借入金の仕訳のやり方、確定申告時の注意点について解説します。

借入金は経費にできる?

プライベートでの借入か、事業としての借入かを問わず、借入金を経費にすることはできません。ただし事業用の借入金の利息は経費にできる場合があります。

ここでは、なぜ事業用の借入金は利息しか経費にできないのか、その理由について解説します。また例外的に、借入金が経費にできるケースについても紹介します。

借入金は基本的に経費にできない

借入金は、一時的な生活費を補うためにプライベートで利用したケースと、事業用の設備投資や開業資金の調達を目的としたケースに分けられます。しかしいずれのケースにおいても、基本的に借入金は経費にできません。

理由として、借入元本は金融機関にただ返済をするだけのものであり、借入元本が売上を生み出すものとはいえない点、また、借入金で必要経費を支払い、さらにその借入金も必要経費として経費を計上すると、二重計上となってしまう点などがあげられます。

あくまでも借入金で必要経費を購入した場合、必要経費として計上できるのは借入金ではなく借入金を利用して購入した設備や不動産などになります。

事業用の借入金の利息は経費にできる

借入金の利息は、売上につながる支出として必要経費にできます。これは利息が、お金を貸してくれた業者への対価という位置付けにあり、借入元本のように、金融機関にただ返済するものではないためです。

また経費にできるのは、事業用の借入金から生じた利息に限られます。例えば、個人の居住を目的として住宅ローンを利用した場合、利息は経費にできません。

ただし、店舗兼住宅の場合は、年間の利息を店舗部分の面積で按分した金額を経費とすることが可能です。

借入金を経費にできる例外パターン

借入金は原則、必要経費にできません。しかし住宅ローンで購入した住宅を、自宅兼事務所として利用した場合、借入金が必要経費として認められる場合があります。

例えば、延べ床面積100㎡、うち事務所として20㎡利用している場合、住宅のうち事業に利用している割合を20%と計算し、家賃が月15万円であれば、15万円×20%=3万円が必要経費として算入できます。

ただしここで紹介している借入金の利息や、借入金を経費にできる例外パターンはあくまでも一例です。個別具体的な案件については所轄の税務署や、最寄りの税理士に必ずご相談ください。

確定申告時の借入金の仕訳項目と処理方法

確定申告書 書く

借入金を利用した場合、どのように仕訳をすればよいのでしょうか。ここでは、借入時、返済時に分けて、借入の仕訳項目や仕訳方法について紹介します。

借入時の仕訳項目と処理方法

借入を利用した場合、借入金が銀行口座に振り込まれることから、貸方に「借入金」という負債が増え、借方は資産科目である「普通預金」の金額が増加します。そのため借入を利用した場合の仕訳は以下のようになります。なお、返済期間が1年以内の場合「短期借入金」、1年超の場合は「長期借入金」と区別します。

借方貸方摘要
普通預金100万円(短期または長期)借入金100万円事業用借入資金

借入時に保証料や印紙代がかかる場合がありますが、印紙税は「租税公課」、保証料は「前払費用」として処理をします。

借入額500万円、保証料5万円、印紙代2,000円の場合の仕訳は以下の通りです。

借方貸方摘要
普通預金494万8千円(短期または長期)借入金500万円事業用借入資金
前払費用5万円保証料
租税公課2,000円印紙代

借入金返済時の仕訳項目と処理方法

借入金を返済した場合、借方は負債が減少し、支払利息という費用が発生しますが、貸方は預金が減少します。また支払利息は借入金に含めないことで、必要経費として処理できます。

借入元金7万円に、利息2,800円が普通預金口座から引き落とされたときの仕訳は、以下の通りです。

借方貸方摘要
(短期または長期)借入金7万円普通預金7万2,800円借入金返済
支払利息2,800円利息

確定申告での借入金についての注意点

青色申告特別控除 ブロック

確定申告には、白色申告と青色申告の2通りの申告方法があります。白色申告は、簡易に申告ができる反面、税制上の優遇がありません。一方で青色申告は、一部税制上の優遇がありますが、確定申告時に提出する書類が多く、書き方がやや複雑です。

借入金に関する記載内容はそれぞれ異なりますので、注意点を理解して自身にあった方法を選びましょう。

白色申告の場合

白色申告は申告内容が簡略されており、確定申告時に添付する書類は主に「収支内訳書」のみです。この収支内訳書には借入金残高を記入する欄がないため、支払利息のみを損益計算書または収支内訳書の「利子割引料」の欄に記入します。

ただし白色申告は青色申告特別控除のような税制上の優遇がない点も留意しましょう。

青色申告の場合

青色申告は55万円(要件を満たせば65万円)の青色申告特別控除が受けられますが、複式簿記による記帳や、賃借対照表(バランスシート)損益計算書を確定申告書に添付して提出する必要があります。賃借対照表は負債である借入金額の記入が必要になるため、前年の残高から支払った分が差し引かれているか確認をしましょう。

また青色申告をするためには、原則、申告する年の3月15日までに所轄の税務署に届出が必要です。一度提出すれば、それ以降届出をする必要はありません。

まとめ

パソコン PC 確定申告書

プライベート・事業を問わず、借入金は経費にできません。ただし、事業用の資金調達を目的とした借入金の利息は経費にできます。確定申告で借入金の利息を必要経費として計算する場合、白色申告、青色申告それぞれにメリット・デメリットや注意点があります。それぞれの特徴を理解して、自身にあった申告方法を選びましょう。

特に青色申告は、申告する年の3月15日までに所轄の税務署に届出が必要になるため、早めに準備をしておくことが大切です。


執筆者:金子賢司

CFP 東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信中。

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